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2018.11.29更新

さて、疲れも見え始めましたがIBDウィーク第3弾!神奈川IBD研究会!行ってまいりました。

本日も診療が立て込み一般演題は拝聴することができませんでした。今回の一般演題の中でも昭和大学藤が丘病院の阿曽沼先生の「Shared Dicision Makingに基づいたIBD診療」というご講演はぜひ聞きたかった講演でした。残念!

特別講演は最近講演をお聞きすることの多い慈恵会医科大学の猿田雅之先生のご講演でした。「潰瘍性大腸炎の治療戦略〜良好な外来マネージメントを目指して〜」というご講演。前回クローン病の講演をお聞きしたばかりですが、今回は潰瘍性大腸炎です。

今回の講演は教科書にして欲しいほどまとまった講演でした。

まずは潰瘍性大腸炎の疫学からはじまります。

現在日本は潰瘍性大腸炎の患者数22万人程度でアメリカに次いで世界第2位の患者数です。アメリカでは潰瘍性大腸炎の患者数が1:1ですが、その過程では潰瘍性大腸炎患者数が先に増え平衡に達する。その後を追うようにクローン病患者数が増加し平衡に達する。以前にも他の研究会で聞いた話ですが、それと同じ過程を日本もたどるなら、今後潰瘍性大腸炎患者数が一定数まで達し、その後クローン病が増加しほぼ同数の患者数になるということになります。潰瘍性大腸炎の管理が簡単とは言いませんが、肛門病変を有したり、狭窄や穿孔のリスクのあるクローン病は非常に管理が困難です。寛解を維持していればそれほどリスクの多くない潰瘍性大腸炎にくらべ、クローン病は病勢が累積される感もありなおさらです。これからIBDはどうなっていくのでしょう?

さて、疫学の話が終了すると炎症性腸疾患のメカニズムを東北大学の病理学教室で御研究歴のある猿田先生らしい病理学的目線でご解説いただきました。

次に治療の話。5ASA、ステロイド、免疫調整剤、CAP療法、カリューシュリン阻害薬、抗TNFα阻害薬、接着因子阻害薬、JAK阻害薬の話を順を追って極めて明快に解説いただきました。

そして潰瘍性大腸炎のフォローアップのお話。クローン病では病勢をある程度CRPで予測できますが、潰瘍性大腸炎をフォローアップする指標は私も困っているのが現状です。便潜血量を指標にする先生もおられるようです。便中カルプロテクチンも世の中に浸透しているとは言えません。実際私のクリニックでも何回か便中カルプロテクチンを計測しフォローアップしようと試みました。しかし便を持参するという患者さんの恥辱心、結果が出るまでに時間がかかることに加え、当クリニックの場合直接契約している検査会社が便中カルプロテクチンを扱っていない為検査会社がさらに他者に依頼をかけ検査料金が5000円を超えてしまうという経済的な理由からなかなか当院も活用できておりません。そんななか今回の猿田先生の尿中PGE2-MUMは期待のもてるフォローアップ手段と思われます。状況を見ながら当院も検討していきたいと思います。

最後に猿田先生が印象深いお言葉を…

「炎症性腸疾患の領域は薬の開発は進んでいるが、病気の解明はいっこうに進んでいない。現在我々は薬に溺れているのではないでしょうか…」

確かにその通りだと思います。しかもその薬がなんと高いこと、、、。このまま医療経済を考えずに進んでいくと日本はどのようになってしまうのでしょうか?われわれ臨床で治療に当たる医師が肝に銘じなければならない大事なことだと考えます。

第3弾も無事終了。満足して帰途につく。

 

KNG IBD

投稿者: 仲町台駅前まつのぶクリニック

何でも相談できる「かかりつけ医」として

消化器のなやみを抱えておられる方は、ぜひ当院までご相談ください。

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