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2018.05.23更新

今日の研究会はIBDセミナー溝の口

今日のテーマは主にクローン病に対するステラーラの治療でした。

まだ全国的にもそれほど使用例が多くないなか貴重なお話を聞くことができました。

まずは聖マリアンナ医科大学の山下真幸先生。高安病と合併した小児クローン病症例のお話でした。なかなか日常臨床でこのような症例と出会うことはないと思いますが、自己免疫性疾患と合併する炎症性腸疾患はよく遭遇します。炎症性腸疾患治療中の患者様の訴えにはよく耳を傾け、自己免疫性疾患との合併がないかより注意深く診療せねばと思いました。また抗TNFα抗体製剤の使用状況と臨床症状に乖離がある場合は不耐もしくは自己免疫性疾患の合併を考慮すべきとおっしゃっておりました。大変勉強になる症例報告でした。

次に昭和大学横浜市北部病院の小形典之先生。ステラーラが著効した子ローン病の症例でした。ステラーラはIL-12抗体製剤であり抗TNFα抗体製剤より結核の発症頻度が低いことは耳にしておりました。小形先生がバイオ製剤ナイーブ症例に対し社会的適応でステラーラを選択した治療方針は目から鱗ものでした。残念ながらここでその社会的適応が具体的にどの様なものだったかを話すことはできませんが、結核発症リスクの高い環境にいる患者様ということでご理解くださればと思います。

ここからは症例報告ではなくステラーラの治療実績の話になります。

慶応大学医学部講師の水野慎大先生。まだお若いのに慶応大学で講師として活躍されている先生です。水野先生のお話はクローン病術後の薬物療法のお話でした。私も外科医時代にクローン病の術後に抗TNFα抗体製剤等を用いるべきかはよく悩みました。しかし、当時はあまりまとまった文献がありませんでした。今回の水野先生のお話は膨大な症例数を誇る慶應大学のデータを拝見することができました。先生曰くレトロスペクティブなデータなのであまり説得力はないとおっしゃっていましたが、十分ためになりました。レトロスペクティブな解析のため経験則ということになりますが、その様なデータを求めてました。水野先生はクローン病術後には抗TNFα抗体製剤を使用する方が再手術率は低く、しかも術後早期に使用する方がよりその効果は著明だったそうです。残念ながらメスを置いた私にはクローン病の術後患者さんをみる機会はそうそうありませんが、非常勤で診療を行っている大学の診療でその様な症例に遭遇した際には参考にさせていただこうと思います。

最後は大船中央病院吉田篤史先生。ステラーラの使用成績をお話しいただけました。大船中央病院なだけにやはりステラーラの使用経験も豊富でした。ステラーラが抗TNFα抗体製剤に比べ遅効性だということは実感しておりましたが、それを具体的にお示しいただけました。今回吉田先生のご講演ではこのデータ以上に感心したことがあります。それは吉田先生の炎症性腸疾患患者様への接し方です。炎症性腸疾患の患者様は私の患者様たちもそうなのですが、ご自身の病気のことをよく勉強されています。その様な患者様に対し、決して患者様の意見を否定せず、豊富な知識と経験で良い治療に導いている診療スタイルには感銘を受けました。

正直、クリニックで炎症性腸疾患を診察していると圧倒的に潰瘍性大腸炎が多く、クローン病は潰瘍性大腸炎に比べると少数です。しかし今日の4題の講演はクリニックの医師にも大変参考になる発表でした。

 ISM

投稿者: 仲町台駅前まつのぶクリニック

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